百科事典 デリケートな革の手入れ その1 アニリンレザー

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Q) 先日アニリン鞣しの靴を購入した時に,店員の方が“決してクリームなど塗らないで ワックスを塗るくらいにして下さい”とおっしゃっていました。
通販で“モゥブレイ・アニリン用クリーム”なるものが掲載されているので クリームくらい塗った方が良いのではないかと思うのですが,いかがなものでしょう。



A) まず、アニリンという用語についてですが、これは革の仕上げの塗膜の透明度による 分類です。
つまり、革の分類には

・その原料皮による分類。(牛、羊、山羊な)
・なめしによる分類(タンニン、クロームなど)
・仕上げによる分類(水性、顔料、樹脂など)
・加工タイプによる分類(スムース、スウェード、ヌバック、エナメルなど)

このあたりは以前のQ&A「「Q&A 革の種類はいくつある?」」をご参照の上、 「仕上げの分類」の中のどのような溶剤で仕上げるかによって、その透明度が変わってきますので、 その際の用語です。

・アニリン仕上げ:最も透明度が高い。皮の風合いを最大限に生かすアルカリカゼイン水性仕上げ。したがって、傷のない高級品原皮に限られる。
・アニリン調仕上げ:透明度は高いが、小さなキズなどを隠すために着色剤として染料を使用。
・セミアニリン仕上げ:染料と顔料を併用。透明度は低下するが銀面模様を残しながら小さな傷を修正する。
・カバリング仕上げ:無機顔料を使用して傷や染めむらを修正する。透明度は低い。

つまり、原皮の銀面模様など皮の風合いを最大限に生かした仕上げで、その分染み込みやすくデリケートな仕上げです。
普通のクリームやワックスを塗っただけで、その油分や有機溶剤のために、濃くシミのようになったりします。
しかし革には油分も水分も必要で、、油分と有機溶剤を抑えた「アニリン用クリーム」でお手入れをしてもらう、ということです。
ただアニリン用クリームには無色しかありませんので、色を補いたい場合は、先にアニリン用クリームを塗布して染み込みを抑えてから、色付きの普通のシュークリームを塗ってもらえば、補色も可能です。

 

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