百科事典 靴の中の革から靴下に色が移ります。
Q) 昨年、黒い革の膝下のロングブーツを購入しました。 内側は、ふくらはぎから足首のあたりまでが布張りで、 足首からつまさきにかけては革です。
一日履いてから脱ぐと、足首からつま先にかけて ストッキングと、通り越して足にまで革の色移りがあり、 とくにかかとあたりは真っ黒になってしまい、洗濯しても汚れがおちません。 恥ずかしくて外出先でブーツを脱ぐこともできません。
もともと足に汗をかきやすいほうですが、他の靴でも 内側が黒い皮革だと汚れることが多く、ついつい 合成の靴を選んでしまいます。
ストッキングが汚れなくなるよい方法はあるのでしょうか? どうか、よい方法を教えてください。 よろしく願いいたします。
A) 色落ち、色移り、シミの原因は、染料や顔料の革との結合が弱いために起こります。 その染色性は、染色摩擦堅ろう度と言ってJIS規格で5段階の基準があります。
なぜ、高染色堅ろう性革を得ることができないかと言うと、
・革は耐熱性が低い(風合いを損なう)ので高温染色ができない。
・強酸や特にアルカリ性に弱い(タンパク質が変性する)。
・革は表面だけでなく断面を染める高拡散性の酸性染料を使用するため汗や雨で溶出 されやすい。
・革をなめす時に繊維同士が密着して硬くなるのを防ぐために、油剤を含浸させる (加脂)ために結合力が弱まる。
<色移りに関して>
JIS規格によると、ご照会の靴の内側の革(ライニング)に使用する革の染色摩擦 堅ろう度は、靴に使用される革の中でも要求度が高く4以上とされています。
ただし、その項目の中には、乾燥状態、湿潤状態、対アルカリ性汗とあり、アルカリ 性汗に関しては2以上と、甘くなっています。
つまり、現段階での技術では、ある程度は仕方ないということになるのです。
ですから、消極的な方法として、
・ライニングには合成の素材のものを選ぶ
・ライニングと同色、同系統の靴下を選ぶ
・ライニングには色の薄いものを選ぶ
・色移り防止用のスプレーを吹いておく
・中敷きは交換可能なので、中敷き(インソール)だけでも色の薄い革にする
といったところで対処をお願いいたします。
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